沖縄浜比嘉島もずくに含まれるフコイダンには、免疫力の増強、糖尿病の予防、便秘の改善などいろいろな効果があると考えられていますが、とりわけ注目されているのは「抗がん作用」です。
この記事では、フコイダンの種類と特徴を示し、根拠となる論文を紹介しながらフコイダンの抗がん作用を解説します。また、フコイダンを含む沖縄浜比嘉もずくの抗がん作用についての考察も示します。
これを読めば、沖縄浜比嘉島もずくに含まれるフコイダンに、どの程度の抗がん作用があるかが分かります。がんの予防や治療のために、沖縄浜比嘉もずくを利用するかどうか検討する際に役立ててください。
フコイダンとは
参照文献:海藻成分フコイダンの生体調節機能~抗ガン作用を中心に~(https://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/bapsa/pdf/22.pdf)
フコイダンは沖縄浜比嘉島もずくをはじめとした褐藻類に含まれる多糖体すなわち水溶性食物繊維です。海藻によって含まれる糖や核酸の構造が異なり、フコイダンの分子内にミネラルや色素も含まれています。その成分の違いがフコイダンの生理機能に影響していると考えられています。
フコイダンの種類と特徴
参考サイト:フコイダンはがんに作用する?フコイダン療法と低分子・中分子・高分子の違い(https://hiki-clinic.or.jp/column/fucoidan/cancer-relationship/)
フコイダンは分子量が1,000以下のものから300,000のものまであり、分子量の違いで高分子フコイダン・中分子フコイダン・低分子フコイダンに分類されます。
高分子フコイダン
分子量200,000以上のフコイダンであり、海藻に含まれるフコイダンは高分子フコイダンです。従来、高分子フコイダンは腸管からは吸収されないと考えられてきました。しかし、2010年3月30日に日本農芸化学会において、群馬大学医学部長嶺教授らのグループが、オキナワモズクを使ったヒト試験で、モズクフコイダンが人体に吸収されたことを発表しています。
中分子フコイダン
分子量1,000〜10,000以上のフコイダンであり、高分子フコイダンを特殊な酵素で分解してつくります。フコイダンの機能は保たれたままで、腸管から吸収されるのが特徴です。
低分子フコイダン
分子量500くらいのフコイダンであり、腸管から吸収されやすいのですが、フコイダンの機能は損なわれています。
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フコイダンの抗がん作用について
参照文献:海藻成分フコイダンの生体調節機能~抗ガン作用を中心に~(https://www.agr.kyushu-u.ac.jp/lab/bapsa/pdf/22.pdf)
フコイダンには下記のような抗がん作用があることが分かっています。
アポトーシス(細胞の自然死)を誘導
腫瘍部位における血管新生を抑制
がん転移を抑制
抗腫瘍免疫の増強
アポトーシス(細胞の自然死)を誘導
2009年の山崎らの研究「Fucoidan induces apoptosis through activation of caspase-8 on human breast cancer MCF-7 cells(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19754176/)」によると、フコイダンは乳がん細胞のアポトーシスを誘発することが示唆されています。アポトーシスとは、生体の細胞において予定されている自然死のことであり、あらかじめ細胞にプログラムされています。アポトーシスの役割は、細胞の新陳代謝を高め、生体を健康な状態に保つことです。
腫瘍部位における血管新生を抑制
「Oversulfation of fucoidan enhances its anti-angiogenic and antitumor activities(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12504793/)」によると、肉腫180細胞を移植されたマウスに過硫酸フコイダンを投与したところ、腫瘍部位における血管新生が抑制され、これにより腫瘍の増殖を抑制する可能性があることが示唆されました。また、マウスのルイス肺がん増殖においても同様の効果が認められています。
がん転移を抑制
「Blocking of lectin-like adhesion molecules on pulmonary cells inhibits lung sarcoma L-1 colonization in BALB/c-mice(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/2737266/)」によると、マウスの肺に肉腫L-1細胞を移植し、肺内転移の程度を観察したところ、フコイダンを投与したマウスでは、肉腫の肺内転移が有意に阻害されました。フコイダンには肺がん転移を抑制する作用があることが期待できます。
抗腫瘍免疫の増強
「The role of NK cells in antitumor activity of dietary fucoidan from Undaria pinnatifida sporophylls (Mekabu)(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/17054048/)」によると、フコイダンを与えられたマウスで、ナチュラルキラー(NK)細胞のキラー活性が増強されました。NK細胞は腫瘍を破壊する作用をもつため、フコイダンは抗腫瘍免疫を増強する可能性があります。
まとめ:沖縄浜比嘉島もずくの抗がん作用について
フコイダンにはいろいろな抗がん作用があることが分かっていますが、この作用は培養細胞内あるいは動物実験で確認されたものに過ぎません。現在のところ、ヒトにおける抗がん作用は十分には実証されていない段階です。しかし、フコイダンの抗がん作用は大いに期待できそうであり、すでにがん治療における代替医療として利用されているのも事実です。
これからヒトにおいてもフコイダンの抗がん作用が検証されれば、沖縄浜比嘉島もずくの抗がん作用も明らかとなり、がん治療における代替医療の素材として広く普及していくことが期待されます。沖縄浜比嘉島もずくに含まれるフコイダンの抗がん作用についての研究に、今後も目が離せません。
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